20代若手の簿記2級資格が最高に有用な理由

キャリアアップ戦略

経営企画部の若手社員:
「スキルアップするために何を勉強したら良いですか?将来的にはコンサルとか転職も考えているんですケド。」

社内外問わず、こういう質問を若手から良く受けます。
もし簿記2級を持っていない場合、簿記2級を取得することベストかつ緊急課題です。

まず結論ですが、理由は以下のとおり。
その1:年収が上がりやすいから
その2:スキルとして最重要だから
その3:自分の適性測定として分かりやすいから
です。

今回は、経営企画部門や管理部のようなコーポレート部門で働く若手(20代~30代前半)へ向けて簿記2級の必要性とその有用性、合格への最速&最楽ルートを示します。
会計が全く分からない状態からスタートでも4か月~半年で取得できますので、若手の経営企画パーソンには最も強く勧めたい資格です。

✓本記事の内容
1.実務上簿記2級を取るべき理由
2.簿記2級による転職と社内評価について
3.簿記2級にチャレンジする価値
4.簿記2級最速合格の方法と必勝勉強方法

✓記事執筆者プロフィール
・日系の上場企業の経営企画部長(新規上場責任者としてIPO達成)
・MBA取得中(国内の経営大学院所属2020年記事執筆時点)
・2児の父。朝のバナナジュースづくりが習慣。

新卒で住友系の機械メーカーに入社し、トヨタ自動車向けの営業、生産管理を担当。
1年程半で退職。その後コンサルへ。28才で経営企画という仕事に出会ってIPOを主導。
上場準備室長として31才の時に新規上場達成。それ以降は経営企画部門一本。
(IPOのBefore・Afterやってるので、IRや法定開示、コーポレート部門の仕事大体全部できます。)

実務上簿記2級を取るべき理由

理由その1: ビジネスする上で基礎の共通言語を獲得
 至る所で言われることですが、最低限の会計知識、財務諸表に書いてあることの意味を理解する力(分析や内容理解まで行かなくとも。)は、企業で働くうえで必須です。

一般消費者(C向け)の営業など、一部の職種・業界ではさほど問題に阿ならない場合も当然ありますが、新聞の経済面などでも基礎的な会計用語は頻出で、営業ならアイスブレイクの雑談、管理部門ならなおさら、様々な場面で話題に上がることが多いです。

例えばですが、売上総利益と経常利益の違い、引当金とは何か?などすら分からない状況では、場合によってはそれだけで唖然とされることもあると思います。
私なら、それだけでその営業マンに案件を出す気が無くなりますし、同じ社内であっても同じテーブルで話は出来ないなと判断します。

その意味で、簿記2級は基礎的な簿記知識を体系的にまんべんなく学ぶことが出来る絶好の学習機会となります。

理由その2: コーポレート部門で昇進を狙うなら必須スキルです
 簿記2級は税理士や宅建士のように名刺に記載するわけではないので、当簿記2級合格していなくとも、それと同等の知識があれば実務上問題ありません。

しかし、20代で簿記2級を取得していればある程度の知識があることの証明になりますし、知名度も十分ある試験のため、せっかく勉強するならしっかり合格証まで手にしたほうがその先のキャリアには大きなプラスです。
また、簿記2級に合格することのメリットは、基礎的なこと(仕訳処理等)から決算整理、原価計算まで一通り学習するため、体系的に学習することができ、抜け漏れや好き嫌いによる知識の濃淡がある程度緩和されます。

少なくとも、実際に簿記2級を取得した私からすると、実務だけの人間よりも、資格+実務経験がある人間の方が信頼度はずっと高いです。

簿記2級による転職と社内評価について

20代の簿記2級は転職でしっかり評価されます
 20代を管理部門以外の職種で仕事をしてきて、途中から管理部門に行きたい、コンサルに行きたいなど、30才前後までの求職者の面接では良くあるパターンです。
当然、公認会計士やUSCPA、中小企業診断士など取得している場合は別格としても、コーポレート部門やコンサルへのキャリアチェンジを狙う場合、簿記2級はしっかり考慮されます。(上場企業で私と同じように経営企画部、管理部で部門長をやっている人間に聞くと大抵同じ答えが返ってきます。)
実際、営業経験のある管理スタッフや、生産現場にいた経験は、管理部門では非常に有用ですので、20代後半以降の管理部門へのキャリアチェンジは全く遅くありません。

しかし
「丸腰ではいけませんよ。」
という話です。

求職者「営業経験を活かしつつ、企画部門で事業全体を見る仕事がしてみたいんです。」
面接官「なるほど。企業活動を広角に見るためには財務会計、管理会計という視点が欠かせないけど、そのあたりの知識はどうですか?」
求職者「仕事をする中で必死に頑張ります!」
面接官「・・・。」

ここは当然、何かしらの勉強や学習をしていて、口だけではない実行力を見せたいところです。

最も簡単なキャリアチェンジの方法の1つ
 20代であれば、コンサル未経験でも簿記2級でコンサルへ転職可能です。当然、PwCやデロイトなどのBig4、ボスコン、アクセンチュアなどの経営コンサル大手はそれだけでは無理ですが、もう1ランク下のコンサル会社なら狙えます。

他業界からコンサルへの転職の場合、他業界でネームバリューのある会社の経歴よりも、コンサル経験の方が重視される傾向にありますので、20代でコンサルへキャリアチェンジしたい場合、大きな武器となります。

 当然、中小企業診断士、公認会計士、税理士、USCPA、MBAなどの資格であればより攻撃力は高くなりますが、働きながらの労力、コスパ、何より取得時間を考えた場合、導入として簿記2級は非常に有用です。

簿記2級にチャレンジする価値

ここで少し角度を変えて
「簿記2級を取得した場合に得られる価値」
ではなく
「簿記2級にチャレンジすること自体の価値」
について話をします。

結論から言いますと、簿記2級にチャレンジすることで、会計分野のスキルが一定程度必要とされる仕事(経営企画、財務、経理、コンサル等)への適性が分かります。

そして、もしそれが良くない結果だったとしても、それが分かることが非常に大きな価値です。


下記センス別参考イメージです。
知識識ゼロ(簿記3級も持っていない。)から毎日2時間やった前提で、簿記2級の平均的な学習期間は、会計センス別で私のイメージでは下記の通りです。学歴よりもセンスの方が影響が大きいように思います。

なお、私の考えでは、分かりやすいテキストがたくさんあるため、通信講座や予備校に通わなくとも、独学で十分合格可能、かつ学習期間も大差ありません。

センス抜群タイプ:
2か月程度で合格。学習していく中で「?」と思うことがない。
センス有りタイプ:
4か月前後。大方の部分で難なく理解できる。原価計算や連結会計など、部分的に少し苦労する。
センス普通タイプ:
5か月~半年。最初の段階で「うっ…結構難しいな」と感じる。
センスいまいちタイプ:
会計を学ぶことがストレス。(勉強嫌いということではなく)
センス無しタイプ:
学習開始1~2週間の時点で合格できる気がしなくなる。

簿記2級はインターネットなどでは難易度的に易しい、と説明されることがありますが、大抵の人は「思ったより難しい」という印象を持ちます。

例えば、私は宅建士資格を保有していますが、宅建より難易度は高く感じました。

簿記2級最速合格の方法と勉強方法

これも良く聞かれることとして

「最適なテキスト教えてください。」
「どのくらい勉強したら合格できますか?」

学習方法も含めて、以下書いていきます。
※前述のセンス普通タイプの型向けに書きますが、基本的にセンスに関わらず、やることは同じだと思います。


①勉強方法
まず全体像をつかむことが重要です。
何もかも分からない状況からなので、最初が一番ツライです。

多くのテキストが、1テーマ学習し終わると例題がついているので、まずはテキストを2周程度してみると、それで何となく「会計とは何をやるもので、どんな考え方をするか。」が分かります。

1つの考え方を学習するものなので、数学より語学学習に近いです。(大事な視点です。)

注意しなければいけないのは、仕訳だとか原価計算、期間配分、決算仕訳だ何だという前に、「基本的な会計というものの考え方」が分かっていないとその先がチンプンカンプンで、ただの苦行になってしまいます。

最初のベースの考え方はしっかり理解してから先に進むことが近道です。

✓借方・貸方とは何か?
✓(BS)資産・負債・純資産、(PL)費用・収益の位置関係
✓財務諸表それぞれの関係性

こういった「その言葉や概念が何なのか?」(言ってみれば言葉の意味)
は立ち止まって理解しながら進むことが大事です。

「これってつまりこういうことだから、こういう処理をするはず。」
のような大枠で合理的に考えられるタイプの人は学習が進むにつれて理解が加速していきます。
ちょっと不得手なタイプの人でも、何度も問題演習をするうちに理解できるので、そこまで絶望的な感覚を持たなければ合格は出来ます。


また、簿記3級と大きく異なるのが
「商業簿記に加えて、工業簿記が加わる」
ということです。

工業簿記は商業簿記とは全く別物と考えたほうが良いもので、考え方のパターンが複数存在し、慣れるまで時間がかかり、問題をある程度何度も解いてみないと感覚がつかみにくいです。

工業簿記の方が得意・不得意が出やすいように思いますが、やはり実務上重要性が高いのは商業簿記なので、商業簿記から学ぶ方が意図思います。
試験全体の配点としては、商業簿記が6割となるため、重点を置くべきは商業簿記だと思いますので、このあたりは基本的に自由でいいと思います。

私の場合はある程度学習が進むまで工業簿記のパターンが頭に入ってこず(頭が固いからでしょうね)、商業簿記と工業簿記の学習ウェイトは1:1くらいで、工業簿記が重たくなってしまいました。


②目安となる学習期間(時間)
簿記3級ですと一日1時間程度で1~3か月で大体の人が合格しますが、簿記2級となると、話が違ってきます。
商業簿記の範囲が増えること、基礎的な内容ではありますが原価計算とCVP分析、などが入ってくることもあり、簿記3級と比べると3倍程度の難易度という感覚です。
宅建と同じかやや難しい程度という難易度です。

一日2時間、週5日、半年程度勉強が続けば大体の人が合格できるようです。

また、簡単な目安として、少しでも「面白いな」と感じたり、「勉強が嫌になる」ということが無ければ、会計分野に向いているタイプといえると思います。
(嫌になる人の方が多数派だからです。)


③オススメのテキスト
簿記2級は独学で十分、というより独学が費用的にも時間的にも効率が良いです
(通信だと提出物があったり、通信講座と銘打っているからか、無駄な部分が多いように思います。)

複数良いテキストが出ていますので、「これでないと合格できない」ということはありませんが、下記は実際に私が使いましたし、他のテキストと比べて使いやすく、書籍自体の実績が十分ですので間違いなですので、参考にしてください。
また、簿記2級は商業簿記と工業簿記え2分野あり、大抵のテキストシリーズで2冊に分かれていますので、購入するシリーズは統一したほうが良いです。(テキストによってクセというか、書きぶりがあるためです。)

https://amzn.to/3nl5aoQ
https://amzn.to/3hNRBgA

また、理解できない部分があれば、異なるテキストの該当ページを立ち読みしたり、ググればかなり豊富に情報が出てくるため、セカンドオピニオンを積極的に調べることも非常に勉強の助けとなります。

最後に

簿記2級は会計を体系的に学べる非常に有用な資格です。
実務の現場で簿記2級が必須ではありませんが、やはり簿記を基礎から体系的に学んだ人とそうでない人とでは、理解度が異なります。

このサイトでは主に経営企画パーソンのためのキャリアアップの一助となることを想定して記事を書いていますが、その他コーポレート部門の方々にも十分参考にしてもらえると思います。
自信を持ってお勧めできる資格(検定)です。

是非チャンレジしてみてください。

コメント

  1. […] 財務諸表を読むうえでも大切なことは「その意味を理解し、必要なアクションに繋げること」です。そのため、それ専門の部署、会計の仕事をしない限りは、細かい勘定科目について塾いしておく必要は無く、今回話をしてきたとおり「財務3表のつながりを理解すること」が重要です。とはいえ、会計についてより深い知識を会得することは様々なシーンで有用です。そのため、参考図書を下記ご紹介しておきます。~会計の歴史について理解したい場合~会計スキルの向上というよりは、会計のなりたちや背景について知ることが出来ます。会計の起源はヴェニスの商人の出納帳と言われますが、商売の必要性から発達してきた歴史が良く理解出来、面白いです。歴史・雑学が好きな方にはオススメです。▶会計の世界史~より実務的スキル・資格取得したい場合~やはり簿記2級程度の知識は持っておいて損はありません。20代であれば転職に有利ですし、キャリアチェンジ可能です。他の記事で簿記2級の有用性について書いていますので、参考にどうぞ。▶Read Me! 20代若手の簿記2級資格が最高に有用な理由簿記2級取得にオススメテキストはコチラ↓↓▶スッキリわかる簿記シリーズ(商業簿記) […]

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